教授 村上 雅人 研究テーマ 研究室メンバー 超伝導の基礎 バルク超伝導体の誕生 論文 特許
最近の論文 村上研究室ゼミ 講義情報 News! 新聞発表 BBS リンク

アーンショウの定理とは 新聞発表
パワーポイント
岩手日報 日刊工業新聞 産経新聞 朝日新聞

20031224

超伝導を使わずに空中浮上

アーンショウの定理に挑戦

岩手高校

岩手大学

芝浦工業大学

岩手高校の佐々木修一教諭、岩手大学教育学部の八木一正教授、芝浦工業大学材料工学科の村上雅人教授らの研究グループは、永久磁石を使って鉄球を空中に浮遊することに成功した。

 超伝導浮上実験は、科学館や理科の祭典などでも一般に行われており、現在では中学や高校の授業でも取り上げられている。これに対し、通常の永久磁石のみを使った磁性体を浮上することは不可能と考えられている。この証明を行ったのが、1842年に行ったのが英国のアーンショウ(Earnshaw)であり、現在ではアーンショウの定理1として知られている。

 しかし、最近になって、1020テスラ2という強い磁場を使えば、磁性体や反磁性体を組み合わせると、中空に浮かすことが可能ということが分かってきている。しかし、このような強磁場は世界でも数箇所でしか得られない。

 今回、同グループは永久磁石と鉄球を使うと図1に示したように、鉄球を中空に浮かすことが可能であることを見出した。今回の成果は、球状の磁性体が同方向に磁化された時に、吸引力とともに反発力も及ぼすことを利用したものである。

 また、同グループは、永久磁石を回転させることで、図2および図3に示すように、中空に浮いた鉄球を移動させることが可能であることも確認しており、今後、クリーンルームなどで汚染を嫌うような材料の非接触搬送装置などへの応用も考えられる。

 本成果は、応用物理学の分野では世界的に権威のあるJournal of Applied PhysicsAmerican Institute of Physics)の20042月号に掲載される(添付論文参照)。

1  アーンショウはイギリスのケンブリッジ大学の研究者で、1842年に固定した磁石と鉄などの磁性体を使っては、安定浮上はできないことを発表した。

ただし、鉄や磁石を動かすと、浮上させることは可能である。

2  テスラは磁場の単位で、1テスラは1万ガウスに相当する。地磁気が約0.5ガウスであり、健康用器具に使用される磁石の強さが約800ガウス程度である。


図1 永久磁石を利用した鉄球浮上。上の列の鉄球は単に磁石に引き寄せられているが、2列目の鉄球は磁石の吸引力と、上列の鉄球との反発力によって中空に浮上している。

2  磁石を移動させると、空中に浮遊した鉄球も移動する。図1と比較すると、浮上した鉄球が移動していることがわかる。

3  最終的に、鉄球はつぎの安定点に移動する。

to the top of this page